だから人は「気づく力」をつけていく習慣作りが大切になりますし、上司は部下に対するコミュニケーションの中で、そのような働きかけをする役割を担っています。
そんなことが分かる事例をご紹介します。
入社して8か月のKくんがある日、次のように言いました。
部長が言っていた「じゃ〜自分はどうするんだと常に自分に問いかけて欲しい」という言葉が刺さりましたし、自分は今まで言い訳をしていたなと感じました。
Kくんにとっては、人生の分岐点になった瞬間といえるかもしれません。
そんなKくんの受け止め方だったのですが、部長の気持ちはどのようなものだったのでしょうか?
「伝えたいことがKくんに伝わってよかった」という気持ちが2割で、残りの8割は「今まで何回も同じことを伝えてきたのに、まだ分かってなかったのか」という気持ちでした。
部長は「じゃ〜自分はどうするんだと常に自分に問いかけて欲しい」ということを何度も言ってきたのです。
さらに課長はKくんに対して「それって言い訳じゃないのか?そんなみっともない言い訳をするな」ということを何度も指摘していたのです。
ではなぜKくんは入社して、8か月のタイミングで「自分は今まで言い訳をしてきた」と実感したのでしょうか?
部長の言い方が良かったという見方もありますが、大きな要因はKくんの「気づく力」がアップしたといえるでしょう。
あなたにも、このような経験はありませんか?
私には、たくさんあります。
つまり「あ〜なるほど!」とその時は感じていても、少し時間が経ってから過去を振り返ってみると「そういえば同じようなことを言われたことがあるな」とか「小さい頃に親に言われたことがあったな」と思い出すような経験です。
だから、上司が部下とコミュニケーションを図る時に大切なことは、言い方や伝え方を気にするだけではありません。
上司は部下に対して「気づきボールを投げ続けること」が大切なのです。
1回言って理解してくれなかったとしても、それを嘆く必要はないし、1回言ったくらいで、そんな簡単に相手は変わらないという認識を持っておくことが重要です。
なぜならば、人は相手を変えることはできないからです。
つまり、上司が部下を変えることはできないのです。
部下を変えることができるのは、部下本人以外にはいないのです。
冒頭の事例でも分かるように、Kくんは入社してから「言い訳をするな」という様々なメッセージをもらっていましたが、それに対して「気づく力」と、素直に受け止め自分を変える力がなかったのです。
そんな部下を見た時に、上司が「○○は素直さがないんだよなぁ」などと言って、その人を評価することがありますが、その評価が評価で終わっては何の価値もありません。
評価は育成のためのステップであり、上司が部下に何かを気づかせるための手段を考える材料なのです。
だから上司が部下を変えたいとか、成長させたいと思った時には「気づきボールを投げ続けること」が大切なのです。
そしてその「気づきボールの投げ方」に、上司の部下に対するコミュニケーション能力が問われるのです。
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