ファシリテーターに必要な見える化の技術

ファシリテーション

とある会社での会議の一部をご紹介します。

この会社は、中古自動車部品の輸出をメインとしています。

輸出方法としては、単品で送るのではなく、コンテナにまとめて積み込み、船便で送っています。

そんな会社で、売上拡大をしていくための重要な会議が行われました。

ここでは、ファシリテーターに必要な見える化の技術を事例と共にご紹介します。

目次     

  • 会議の序盤
  • 会議の中盤
  • 会議のさいご

会議の序盤  

この会議の目的は、ズバリ売上拡大ですが、その中でも新たに設けた積込拠点をいかに活用するかということがメインテーマとしてありました。

しかし、何事も新しいことに対しては発言がしにくいものです。

なぜならば、何が正解か分かりにくいし、何か意見を言うにしても、それが正しいかどうかも分からない状況だからです。

このような時には、いつも以上にファシリテーターの存在価値が高まります。

ちなみに、なぜ新積込拠点が必要になったかというと、それは既存の積込拠点がキャパオーバーになってきたからです。

この会社では、自社で車を買い取ってそこから取り外した部品以外に、同業他社さんからも部品を集荷して輸出しているのですが、その量が最近増えて、今までの積込拠点だけでは対応できなくなってきたのです。

つまりこれから売上を拡大していくためには、新積込拠点を活用する以外に方法はないし、海外からの受注は充分に見込める状況だったのです。

そこでこの会議では、担当者の現状共有から始まりました。

その中で、新積込拠点が活用できていない理由としては、次のようなコメントがありました。

  • 何よりも新積込拠点で働く人のレベルが低い。
  • 積込用のスロープが使いにくい。
  • 近隣の港では審査が厳しいので、輸出先によっては港を変えないといけない。
  • 積み込み商品の在庫が少ない。
  • 中古車を積み込めない。

このようなコメントを受けて、その会議に参加している7名の反応は「その通りだよね〜」という感じでした。

そうなんです、言っていることはその通りなのです。

しかし「その通りだよね〜」と確認して終わってしまったら、この会議の意味はないのです。

そこでファシリテーターの腕の見せ所なのですが、この時のファシリテーターは「その通りだよね〜」という雰囲気に完全に乗ってしまったのです。

これでは、ファシリテーターの価値がありません。

会議の中盤  

そこで私から、次のようなサポートをさせていただきました。

項目にすると、次の3つになります。

①目的の確認

②課題の整理と見える化

③議論をフォーカスさせる

この3つのことは、ファシリテーターの技術としてとても重要なので、そのやり方も含めて事例をご紹介します。

①目的の確認

まずは、目的の確認です。

ミーティングや会議で、堂々巡りのような状況になってしまう時には、目的の確認が必要です。

議論に夢中になったり、周りの人の意見に流されたりすることで、参加者が目的を見失ってしまうことがあります。

ここで紹介している会議の目的は、売上拡大に向けて新積込拠点をどうやって活用するかを決めることです。

さらに、2つのことを共有しました。

1つ目は、なぜ新しい積込拠点を設けたかということです。

この時は、会社が売上拡大を目指して意思決定したことですし、海外からの受注も見込める状況がありました。

だから「新しい積込拠点をなくしても良いのでは?」という選択肢はないことを共有しました。

2つ目は、どのような先行投資をしているかということです。

ここでは、新積込拠点の家賃(120万円)と採用した社員の人件費(40万円)を共有しました。

ちなみに40万円というのは、事実ではなく概算として次のような説明をしました。

例えば、月額支給が総額で27万円だとして、社会保険料などを考慮してそれを1.2倍します。

そして、年間の賞与を、156万円と計算すると、暫定年収が480万円になります。

それを12か月で割ると、40万円となります。

この2つを共有することで「できない理由」に納得するのではなく、それを踏まえて「できる方法」を考えるのがこの会議の目的だということを再確認しました。

数字について、少し苦手意識がある方は、ぜひこちらをご覧ください。


思考で差がつく「数字に弱い」社会人のための苦手意識を克服する方法: 「難しい」の原因は9割が思い込み
 

②課題の整理と見える化

では、先程の「できない理由」は言わないほうが良かったのでしょうか?

そんなことはありません。

「できない理由」には、とても貴重な価値がありますが「できない理由」を言うだけでは価値がないということです。

では、その「できない理由」を「できる方法」に繋げるためには、会議でどんなことが必要になるのでしょうか?

そんな時には、課題の整理と見える化が有効になってきます。

ここでは、次のような見える化を行いました。

いかがでしょうか?

各自が頭で考えていることがバラバラだったとしても、これを見ることでベクトルを合わせることができます。

これが、課題の整理と見える化になります。

ファシリテーターとしては、口頭で伝えるだけではなく、ときには視覚で伝えることも重要であり効果的になります。

③議論をフォーカスさせる

言葉だけで説明すると難しいかもしれませんが、この表を見ればどこに可能性があるかは分かるはずです。

会議のさいご 

港のルールを変えることは難しいですし、新たな設備を整えるためには、社長の決裁が必要になります。

決裁が必要だから、ダメということではなく、どのような稟議を上げれば良いかを議論すれば、その道も決して諦めるものではありません。

しかし、人の教育や商品を集めることは、今すぐにでもできることがあります。

この会議では、次の2つをすぐに始めることにしました。

①既存の積込拠点の責任者を、新しい積込拠点に出張させることにしました。

既存の積込拠点はサブリーダーに任せ、新しい積み込み拠点に人材を集中させることにしました。

これで、新しい積込拠点で働く人のレベルについては解決です。

②商品を集めることに関しては、同業者の方に買取価格を含めた細かい情報を発信して、不足分を集めることにしました。

さらに、稟議書を作成するために、設備投資時のシミュレーションを行い「できる方法」をたくさん見つけることができました。

最終的に、共有した表はこのように埋まりました。

今回の事例でも分かるように、ファシリテーターには課題を見える化する技術が重要なのです。

ファシリテーターに関しては、ぜひこちらもご覧ください。


会議やミーティングにおけるファシリテーションの技術が学べる本: コミュニケーション能力をビジネスに活かす コミュニケーション&ビジネス
 

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