コミュニケーション能力を高めるにはたくさんの要素が必要です。経営コンサルタントとして学んだこと・経験したこと・日々の業務で感じることなど「コミュニケーション能力」に関する情報を中心に配信しています。皆さまの未来に少しでも貢献できれば幸いです!

目標設定, 目標の仕組み化, 目標管理

危機感の共有 〜組織改革の事例 1/4〜

今期1億円の赤字予測です!

と、聞かされたらビックリするでしょうか?

会社のことを思っていれば思っている人ほど、ビックリするでしょう。

もしこの事実が会社の崖っぷちを意味するのであれば、何が必要でしょうか?

その時に1つのキーワードが「危機感の共有」です!

そしてこの危機感もただ共有すればいいというものではなく、正しいステップを踏まないと、恐怖や不安を過剰に煽り、パニックを引き起こしてしまいます。

目次         

  • はじめに
  • ある会社の現状
  • 会社のビジョン
  • 会社の現状
  • これからの考え
  • さいごに

はじめに       

1億円の赤字といっても色々なケースがあるかと思います。

例えば・・・、

売り上げが5,000億円で、社員数が10,000人の企業で、前期までは毎年100億円以上の黒字(純利益)を出している企業だったらどうでしょうか?

びっくりはするかもしれませんが、自分の近い将来が不安になるようなことはないでしょう。

例えば・・・、

売り上げが25億円で社員が50名の中小企業で、1億円以上の赤字が初めてだったらどうでしょうか?

パニックになるかもしれません。

そんな時に社員が考えることは・・・、

  • ひょっとしたらうちの会社、やばいのかもしれない。
  • 給料が減るかもしれない。
  • ボーナスが出なくなるかもしれない。
  • リストラされるかもしれない。
  • 倒産するかもしれない。などなど。

自分の心配をしますね。当然ですよね。

これは、あくまで「会社と個人は別物」という考え方です。

社員は最悪の事態が訪れた時には、「転職」という選択肢を持っていますが、経営者にはその選択肢がありません。

ここが、会社に対する想いと責任感の根本的な違いかもしれません。

しかし、果たして社員全員が「会社と個人は別物」という考え方でしょうか?

ある会社の現状    

この事例は、今期1億円の赤字予想で、来期も1億円の赤字だと倒産するかもしれないという会社です。

そんな会社の組織改革の事例をご紹介します。

この会社は東海地方に本社がある、とある製造業の会社です。

ニッチな分野ではありますが、業界シェア日本一の会社です。

しかし今期は1億円の赤字予測です。

その状況を踏まえて、ここの経営陣は、社員に不安を与えることのないようになんとかしようと考えていました。

もちろんそれで乗り切れるなら良いかもしれません。しかし乗り切れないとしたらどうでしょうか。

さぁどうしましょう?

そんな時に、私もこの会社とご縁をいただきました。

こんな時、おそらく正解はありません。しかし、やるべきことを明確にしなければいけません。

さぁどうしましょう?

ここで書いていることは、決して正解ではなく1つの事例です。

読んでいただいている方の何かのお役にたてば幸いです。

まず社長と一対一で話し合いました。

この会社は業界シェア日本一の会社で、その成長を牽引してきた社長はカリスマ的な魅力を持っています。

しかし立場は違えど、お互いにプロ同士として意見をぶつけ合います。

いわゆる膝を突き合わせての対話です。

これはとてもとても大切なことです。

今は様々なコミュニケーションツールがありますが、「直接会って、直接言葉で心を通わせる」という行為はとても尊いものです。この時に改めてそのことを実感しました。

ここで社長と話していたことは、主に次の3つです。

①会社のビジョン   

やはりカリスマ的な魅力のある人は、ここが凄いのです。他の人には描けないようなビジョンを持っています。

そして自分の会社をこうしていきたい、規模や利益をこうしていきたいという目標だけでなく、世の中のことを考えて、このように社会貢献していきたい、このような世の中を目指していきたいというビジョンを持っています。

それがカリスマ社長の魅力です。

だから話をしているだけで、こちらもウキウキしてきます。

②会社の現状     

もちろん「1億円の赤字予測」が話の中心です。

決算書上の数字、その数字の実態、そしてその原因。

原因の中には様々なものがあります。

  • 外部環境の変化:原材料の高騰、取引先の価格など。
  • 内部環境の変化:業務効率の悪化、システムの老朽化、社員の高齢化、社員のモチベーションの低下、役員間の人間関係などなど。

③これからの考え   

社長は、この実績の全ての原因は、社長本人にあるという自覚を持っていました。

それと共に、これからの1年は相当な覚悟が必要であるという認識も持っていました。

今まで通りのやり方で、自分のワンマンシップで進めて結果を出せるかもしれない。

しかしこのピンチをきっかけとして、次世代へバトンタッチしていく組織づくりも必要なのではないかという考えも持っていました。

しかししかし、何よりも業績の回復です。金融機関に見放されてしまっては「The END」です・・・。

さいごに       

しかし残念なことに、社長の危機感は社員には全く伝わっていませんでした。

無理もありません。

なぜならば、経営陣は社員を不安にさせないように、会社の実態(数字)をオープンにしていなかったからです。

そして「危機感の共有」という観点からみると、全くされていない状況でした。

どんな組織にも「危機感の共有」が必要というわけではありません。

組織にとって大切なことは、共通目的であり共通目標なのです。

組織に属する人が、何のために仕事をしていて、どこに向かって仕事をしているかということです。

詳細は「誰でもわかる 簡単 組織の3要素」をご覧ください。

しかし、この会社には「危機感の共有」が必要だったのです。

つづく♪