交渉力において、真の相手を知り、その人の心を動かすことが交渉術であることを「交渉術の仕組み化① / 基本編」でご紹介しました。
ここでは交渉術で大切な「問う技術」をご紹介します。
誰でもできますが、実践している人は多くないと思います。
交渉に限らず、コミュニケーション能力に興味のある方には、きっと喜んでいただけると思います。
交渉の席では、常に問う側が主導権を握っています。
なぜならば、交渉の最後は「これで良ければこちらにサインをお願いします」という問いに対して、相手が「YES」と答えを返して、交渉が成立するからです。
だから交渉の技術の中で、まずは「問う技術」が必要になってきます。
交渉術における問う技術とは・・・
①「問いかける」技術
②「問いには問いで返す」技術
③「問いを受け入れ問いで返す」技術
それでは、順番にご紹介していきます。
目次
- 問いかける
- 問いには問いで返す
- 問いを受け入れ問いで返す
問いかける
「話しかける」のではなく最後に「?」がつく「問いかける」です。
この技術は、言葉でいうと難易度の低いイメージがあるかもしれませんが、習慣化されている人は決して多くはありません。
特に、地位や年齢が上の方や、上司などと話している時は、知らぬ間に「答える」だけに終わってしまうことが多いかと思います。
「問いかける」の技術を向上させるためには、意識づけと習慣づくりがとても大切です。
まずは、誰かに「問いかける」意識を持って人と接してみることです。
目的に応じた、2つの「問いかける」をご紹介します。
A 人間関係づくりの目的に基づく「問いかける」
それは相手が喜ぶ内容であり、喜んで話したくなるような内容です。
これを、「愛の質問」と私は教えてもらいました。
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例えば・・・
社長室にゴルフバックが置いてあったら・・
ゴルフがお好きなんですか?
部屋に本がたくさん置いてあったら・・
本がお好きなんですか?
高そうな腕時計をしていたら・・
その腕時計カッコいいですね〜。お気に入りなんですか?
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このように相手が喜ぶような「問いかけ」を投げることで、その場の雰囲気を創り出すことができます。
B 交渉を進めるために必要な情報を得るための「問いかける」
簡単に言えば、交渉に必要な欲しい情報を聞くということです。
ここで大切なことは、聞き方、聞くタイミング、聞く相手(交渉相手が複数の場合)などがあります。これはまた別の機会でご説明します。
このように交渉では「問いかける」という交渉術が最初に必要となります。
問いには問いで返す
この「問いには問いで返す」技術はめちゃくちゃ大切です。
そして、組織として意識することで、交渉術の仕組み化をスタートさせることができます。
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例えば・・・
「あなたは何色が好きですか?」という質問に対して、
「そういうあなたは何色が好きですか?」と答えます。
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実際にロールプレイングなどでやってみるとわかりますが、とってもぎこちない会話になります(笑)人によっては、口喧嘩のような雰囲気を感じる人もいるかもしれません。
でもこれはトレーニングなので、割り切って楽しみながらやってみてください(笑)
企業研修などでこのトレーニングを行うと、皆さん「問いで返す」難しさを体感されます。
これは多くの人が受動的にコミュニケーションをとっている証拠です。
しかし交渉の場では、「常に問う側が主導権」を握っています。
問いを受け入れ問いで返す
トレーニング上のぎこちない会話を解消し、実践で使えるような交渉術にするために必要なことが、「問いを受け入れ問いで返す」です。
ここまで来て、初めて実戦で使える技術になります。
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例えば・・・
「あなたは何色が好きですか?」という質問に対して、
「私は紫が好きですが、あなたは何色が好きですか?」こんな感じです。
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さらに・・・
「私お腹すいちゃってさ~。今日のお昼何食べた~?」
「お腹すいたよね~。私も一緒。私はお昼うどんだったけど・・・あなたは?」こんな感じです。
相手のコメントを受け入れ(オウム返し)、共感を示してから、問いを返すことで、会話がより弾みやすく、お互いの心のガードがどんどん下がっていきます。
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さらにさらに・・・
「私はね、本当は彼に頑張ってほしいんだけど、なかなか難しいだよね~これが・・」
「やっぱり彼に頑張ってほしいですよね~。私もそんな気がしますけど、どの辺が難しいんですか?」
問いのない会話に、新たな問いを投げかけることで、会話に広がりが生まれ、交渉が進んでいきます。
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コミュニケーション能力において「聞く力」が大切という人がいます。もちろん大切です。
「聞く力」という点では、表情・目線・相づち・オウム返し・ミラーリングなど色々とありますが・・・。
交渉術では、必ず「問い」を返すことが、より大切になります。
交渉に関して興味のある方は、こちら「コミュニケーション能力の課題が分かる本3 〜相手に喜ばれる交渉術の5ステップ〜」もぜひご覧ください。
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